高齢化による労働力不足に苦しむタイ

不法滞在者の雇用に対する新法制定は、企業の重要な部門に圧力をかけ、消費現象と伸び悩んでいる教育による労働力の不足を改善することが期待されています

2018年1月1日、タイの多くの企業にとって良い年明けにはならないかもしれません。数千万の外国人不法就労者に対しての6ヶ月の猶予の期限日であり、彼らはこの日までにその仕事から離れなければいけないからです。

2014年のアメリカ政府による人身売買(TIP)レポートでタイが最低ランクであるTier3に引き下げらたれことを受け、外国人労働管理局は不法労働者を雇用した人材派遣会社やタイ国内の企業に対して2018年から24,000ドル以下の罰金と刑を課すことにしました。

「もしもこの法律が厳しく施行され、猶予期限後に多くの移民労働者が以前より大幅に減るようなことがあれば、多くの企業、特に中小企業は悪夢を見ることになるでしょう。」とバンコクにあるカシコンリサーチセンターの取締役社長Charl Kengchonは危惧しています。

2017年の8月に登録された143万4275人の合法外国人労働者のうち、141万470人が能力の低い労働者と分類されました。タイ雇用局によると、彼らは主にミャンマー(104万4325人)、カンボジア(26万3736人)、ラオス(10万7244人)など近隣諸国からの出稼ぎ労働者です。

有償法律の施行に対する地元企業の反対運動が広がったことを受け、Prayuth Chan-ocha首相によって設けられた猶予の下、6月24日から8月7日にかけて新たにこれまでの79万7685人の違法労働者がタイ全土の外国人労働者通知センターに登録されました。

この登録が締め切られたのは8月7日で、証明やビザの発行手続きには4ヶ月という期間しか残されていませんでした。

これにより220万人の出稼ぎ労働者が 法的責任を負うことになりますが、3〜400万人と推定されている労働者の数には到底及びません。残りの労働者を他の方法で登録することも可能ですが、それには更に費用がかかります。

労働者の不足は、米の取引などの主要産業にも大きな打撃となります。年内に1100万トンの米の輸出を目標としているグループ、タイ米輸出協会の名誉会長Chookiat Ophaswongse氏は「12月から2月は米の輸出が多い期間なので、これは大変な問題です」と話しました。

米の出荷には未だ多くの 人手が必要です。1袋60kgの米が人の手でクレーンに乗せられ船に積み下ろしをされますが、 それらの作業は忍耐力のあるカンボジア人の作業員に数十年間に渡って独占されています。

ただでさえ不足しているカンボジア人労働者が1月1日までに登録されるとなると、米を船に詰め込む作業員の数は大幅に減ってしまうかもしれません。

法で定められたカンボジアからの出稼ぎ労働者の月収は約4410バーツ(134ドル)です。しかし、3年間のビザを保証してくれるブローカーに頼めば、その金額は1人の労働者に対して600ドルにも跳ね上がります。一度それが決まると、彼らが肉体仕事の少ない仕事に転向しないという保証はありません。「この先どのようになるのかはわかりません」とChookiat氏は答えました。

1990年代初頭のタイが2桁台の経済成長を迎えていた頃、まず労働者不足に陥りました。当時上昇を続けていたタイは、近隣の共産主義国や社会主義国の中でも経済が発展途上にある国から安い出稼ぎ労働者を取り入れ、利益を得ていました。今でも、以前に比べてはるかに少なくなった賃金の良い仕事の機会をそういった国々の若い世代に与えています。

歴代のタイ政府は出稼ぎ労働者に向けて、人員募集や職業斡旋のシステムを配置しようとしましたが、ずさんで悪用されがちなものでした。TIPではそれまでTier3にランク付けされていたタイですが、人身売買組織を取り締まったことから、今年6月にはTier2にランクアップされました。 最低ランクに位置していたのは、水産業界で起こったカンボジア人・ミャンマー人に対する残虐行為の報道が原因です。

新しい規制が現場を改善しようとしています。
「タイの経済的成長には、外国人労働者が必要不可欠です」と雇用局長官Waranon Pitiwon氏は言います。「タイは違法外国人労働者を管理し、合法化したいのです。この法律は、真面目に仕事をしている者を雇用している分には何の問題もなく、違法者を雇用した際に適用されます。」

世界大手のツナ缶輸出で知られるタイ・ユニオン・グループは、水産業界の根深い問題をよそに新たに厳しい規制が置かれることには何の問題もないはずですが、それよりも小さな供給先には厳しい状態になるだろうと考えています。